
コラム(地方観光)
雨粒が教えてくれる、やさしい時間
2025年7月31日
雨が降るから、見えるもの
心がひらく、雨の日の旅
空が泣いている――そんなふうに言われる雨ですが、
よく耳を澄ますと、雨音はどこか心を静かにしてくれる“音楽”のようにも思えます。
街も、自然も、人の声も、すこしトーンを落として、そっと包み込んでくれる。
そんな雨の日にこそ、見えてくる風景があります。
雨粒が教えてくれる、やさしい時間
雨の日のガラス越しに見る景色は、どこかにじんで柔らかく見えます。
カフェの窓辺で熱いお茶をすすりながら、通りを行き交う人の傘を眺める。
濡れた石畳や、花の上をすべる雨粒のきらめきに気づくのは、雨の日だけの特権です。
屋内の“ぬくもり”が、いっそう心地よくなる
雨の冷たさと静けさのあとに入る、あたたかな空間。
陶芸やキャンドルづくりなどの体験も、どこかほっとする時間に感じられます。
和カフェでいただく抹茶の湯気や、ギャラリーの静謐な空気も、雨の日にはより濃く心に染みてきます。
旅に、余白を。
旅は、すべてを埋め尽くす必要はありません。
予定通りにいかなくてもいい、足を止めてもいい――
雨がくれるのは、そんな“余白の時間”です。
雨の日の旅は、きっと心に長く残ります。
晴れた日とはちがう、美しさが、そこにあるのです。